熱く楽しく挑戦する!

分子神経科学研究者、兼、麻酔科医、兼、ランナー、兼、作曲家 の随想録(ひとりごと)です。

アンテナを増やす

postblackjack2009-10-05


 丹沢山ワンダーフォーゲルの仲間と行ってまいりました。
あるはずの登山道がなかったり閉鎖されていたりで、予定通りの登頂を
果たすことはできませんでしたが、それでも皆で楽しく、行けるところまで
行くことができたのでとてもよい経験となりました。

0805 青柚が橋 392m
0900 旧登山道 455m
1010 本谷林道終点より引き返す
1200 昼食後再出発 553m
1505 天王寺屋根 1310m
1530 水無川 休憩 1107m
1645 青柚が橋 392m

 今回、私は足下に咲く花々や草木に注目していました。実は、これまでの
活動ではほとんど意識することなくやってきたものです。これまでは、自然を
楽しむという気持ちはもちろんあったものの、どちらかといえば山の高みから
遠くを臨んでみたり、高台から下界を見下ろしたりと、足元の美しいものや
近くの緑にはあまり意識が及んでいなかったのだと思います。あたかも、
それが当たり前のように存在しているかのように。

 そんな私に、ある人が教えてくれました。「足元に生きているものにも
もっと注目してみたら?」と。

 たしかに、動物もそうですが(今回はヒルヒキガエル、ヘビ、シカなどたくさんの
動物に出会いました)、植物にもたくさんの種類の花々や草木が生きていて、
しかもそれぞれに植生の中でのポジショニングがあることを知りました。
一度、注目という名のアンテナが立ってしまえば、あとは簡単なもので、次の
一歩で視野に飛び込んでくる花々には今までみたことのないものがあるだろうか、
または標高の違いでその様子はどう違うのだろうか、みたいな興味が次々と沸いて
くるのです。アンテナが立った後の登山道は、アンテナのない登山道とはまったく
異なる、より味わいの深い道となるのです。

 この、アンテナを立てるということ。実は、自分ひとりの中でそれを見つけて
立てるというのは非常に難しい、というよりもその機会に恵まれるのは極めて
稀な幸運なのかもしれません。私は今回は素晴らしい人と巡り会う機会に
恵まれましたが、おそらく人生におけるアンテナも、同じように何らかのものや
本、映画、ドラマ、テレビ番組、そして人との出会いなどがあってはじめて
見つけることができるのかもしれません。

 将棋界できっての天才と呼ばれた升田幸三は、「人生とは、話し合いである」と
語っている番組を見たことがあります。人との話し合いに限らず、何かと出会い、
そしてその良さを感じ入って、そして自分の中に芽生えたアンテナを立てていく。
人生とは、そのようにして少しずつ豊かなものにしていくものなのかもしれません。