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分子神経科学研究者、兼、麻酔科医、兼、ランナー、兼、作曲家 の随想録(ひとりごと)です。

ミクロの決死圏

postblackjack2009-06-27


 ミクロの決死圏という映画を観ました。
この映画は、1966年に作成されたということですが、非常に先進的な
発想で21世紀の臨床医学に実践される可能性があるかもしれないような
技術ともいえます。この世界観を考えた人はすごい!鉄腕アトムブラックジャック
の中で21世紀、22世紀での科学技術を見事に的中予想した手塚治虫先生に
通じるものがあると思います。

 この映画を要約すると、テロで脳出血後の血腫を患った科学者の体内に、
縮小化された潜水艦に乗った5人の乗組員が潜入して、免疫系の攻撃や
動脈の乱流による危険をくぐり抜けながら血腫除去を果たすという映画です。

 まあ、当時の医学知識によるものか、または医学監修の限界なのか、
かなり無理がある点も多々みられましたが、本質として先進的と思えた
ポイントには、マイクロマシンという概念があります。

 文字通り、微小な機械を体内に注入して、からだに負担のかかる治療を
人間の代わりに行ってもらう、というコンセプトです。現在では、カプセル
内視鏡という薬のようなカメラを患者さんに飲んでもらって、カメラが消化管を
通るあいだにたくさんの写真を撮影してもらう、というものがあります。
現在の胃カメラ、大腸カメラでは、小腸の奥のほうの病気を見つけることには
限界があるため、このカプセル内視鏡に大きな期待がかかっているのです。

 22世紀のマイクロマシンは、おそらくからだのなかに注入されたあと、
マシンが自動的に病気を発見し、適切な処置を行い、そして安全な形で
排泄されて戻ってくるというシステムになると考えられます。

 こんなことを1960年代に考えついた人には頭が下がる一方です。
 工学の進歩が医学の進歩を大きく握っている、これからもコラボ
していただきたいです!