緊急シリーズ1 精巣捻転
小学校高学年〜中学生の男の子が突然、股間にぶらさがっている精のうという2つの袋に痛みを感じたら、精巣捻転症という病気の疑いが高いです。
精のうの中には、精子をつくる工場の役割を果たす精巣が入っていて、当然それに酸素と栄養を送る血管と精子の通り道が通っているのですが、精巣がふくろの中にしっかり固定されていないと精巣への血管がねじれてしまい血液が精巣に流れなくなってしまい精巣の細胞が死んでしまいます。
イメージとしては、水をまいているときのホースを途中でねじるとホースから水が流れなくなるという感じでしょうか。ホースからの水にたよっている植木が枯れてしまうように、精巣の細胞が死んでしまうと精子をつくることができなくなり、[[不妊症]]の原因となることもあります。
ですから、お子さんや友達がこのような症状を訴えていたなら、すぐに病院に行って緊急手術を受けるのがよいと思います。6時間以内であれば精巣の機能は十分救われるといいます、24時間を越えてしまうと精巣の細胞はほとんど死んでしまいます!
ちなみに、精巣に突然の激痛をうったえる病気として、精巣上体炎というものもありますが、この病気の場合には精のうを上に持ち上げると痛みが和らぐことが多いです。一方、精巣捻転症の場合には上に持ち上げても血管のねじれは元に戻らないので痛みは変わりません、むしろ痛みがひどくなることがあります。
手術自体はねじれた血管を元に戻して精巣を精のうにしっかり固定するだけなので大仰なものではありません。少しでもこの病気を疑ったなら、すぐに病院に行って処置をしてもらいましょう。
ちなみに、僕たち医学生の大半が使っている教科書を紹介します。医学書の大半はとても読みづらく頭がクラクラしてしまいますが、この教科書のシリーズはとてもわかりやすく書かれていて、一般の方にも読みやすいものだと思います。
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